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【マスクド彼女・序】
第3章 一日目【彼女との戒律(ルール)】

おそらく唯が科した戒律(ルール)を破るようなものならば、それは即座に却下されよう。
そう考えた正直は、唯に対する好奇心を率直に示していた。
「それで、いいかな?」
「ええ、結構ですよ」
正直の『質問』に唯が『正直』に答える保証はない。しかし、『嘘』を口にすれば、それは彼女の揺らぎになって表れよう。
敢えて『正直(しょうじき)さん』と呼称する唯が、正直にある種の誠実さを求めているのは確かだ。ならば立場を代えて唯が、この『要求』にどの様な反応をするのか、それだけでも興味は尽きないように思えた。
それを受けた上で、唯は些か意地悪く訊ねる。
「ですが――はっきり申し上げて、賭けを持ち出すこと自体が、そもそも無謀かと。正直さんが勝つ見込みなんて、ほとんどないように思いますし」
「そうだね。だから次は、コレで勝負しようか?」
テーブルの端に置かれた一組のトランプを手にして、正直は言った。

