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【マスクド彼女・序】
第3章 一日目【彼女との戒律(ルール)】

「なるほど……」


 唯は言う。


「運の要素の強いトランプならば、十分に勝機はある――と、踏んでいるのですね」


「その通りだけど、駄目かな?」


「いいえ。その考えが浅はかに尽きることを、思い知らせるも一興かと存じます。ぐうの音も出せないほどに、あっさりと返り討ちして差し上げましょう」


 やや饒舌となりつつあるのは、唯の攻撃的な一面の表れか。何れにせよ正直にしてみれば、感情の起伏は歓迎すべきことだった。

 此処へ来て初めて、自分のペースに持ち込んだような実感がしている。


「じゃあ、トランプでの勝負は決まり。あとは、俺が負けた場合。唯さんが、何を要求するのかを聞いておかないとね」


「ええ、そうですね。どうしましょうか……?」


 唯は顎に手を置き、じっと思慮した。
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