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【マスクド彼女・序】
第3章 一日目【彼女との戒律(ルール)】

「ハ、ハハ……」
思わず半笑いしている、正直。
「いけませんか?」
対する唯の方は、どうやら大真面目のようだった。
「いや、別に俺がどうこうじゃなく。寧ろ、君の方に……」
何ら利点がないように思うから、正直は言葉を濁している。
しかし、唯は言うのだ。
「これは、正直さんに罪を科する為。それこそが、私の目論見なのです」
「罪……?」
何故、キスが正直の罪となり得るのだろう。彼女の考える処に、未だ正直の想像が追い付こうとはしていない。
だが、それも唯が正直との邂逅を望んだ、秘められた想いの表れなのである。
そして、この些細な勝負をきっかけとして、二人は既に何かを誤ろうとしてるのだ。
それが後の苦しみを生むことを、今は気づけぬままに……。

