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【マスクド彼女・序】
第3章 一日目【彼女との戒律(ルール)】
「よろしいのなら――後は勝負方法ですね」
唯は淡々とした口調で言った。
「あ、ああ……」
相手の要求がどんなものであれ、正直とてむざむざ敗北を喫するつもりはなかった。勝利した後に、唯にしようとする『質問』は既に頭の中に浮かんでいる。
ならば何時までも、心を乱されている訳にはいかないのだ。
凛とする唯を前にして、正直も思わず背筋を正す。
「どんなゲームにするのか、俺が決めても――?」
「ええ、どうぞ。ポーカーでもブラックジャックでも――別にババ抜きでも、好きに決めていただいて結構ですよ」
唯の言うようにトランプを用いた勝負方法は、その難易に応じて様々である。そのゲーム種目の決定は、正直に委ねられた。
だが彼女の態度は、明らかに自信に満ちている。唯が例に挙げたものでは、分が悪いのかもしれない。
オセロ等の対戦を踏まえてそう感じた正直は、敢えて次のような提案に出る。
「既存のトランプのゲームではなくて、俺が考えたオリジナル・ゲームでもいいかな?」