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【マスクド彼女・序】
第3章 一日目【彼女との戒律(ルール)】
正直が自ら考案のルールにて勝負しようとすることには、とある理由があった。
言うまでもなく、この部屋は唯のテリトリーであり。そこで用意されたカードを用いることには、正直にある種の危惧を覚えさせている。すなわち唯が何らかのイカサマをする可能性を、考えておく必要があるのだ。
今、目の前に置かれた裏向きの三枚のカードは、何をするかもわからずに配られたもの。もし万一唯が意図的にカードを配分できたとしても、この時点でそれは全くの無意味となる。
しかしながら唯がそれをすると疑うというよりも、敗北した時にその様な疑念に苛まれたくないと言う方が正しかった。
つまり、これは公平な勝負であると、まず自分に言い聞かせておきたい。そして当然どうあっても、この勝負に勝ちたいと思っている。
それはもちろん、唯とのキスが嫌だとうい心理からではなく。只、その一連の彼女の言動は、やはり真面ではないと思ってしまうから。
それに屈してしまうのは、あまりに危険だと感じた。正直は唯に対する好奇心が、徐々にその形を変貌しつつあることに気がつく。
俺は彼女のことを、見えない何から、救いたいのかも……?
その想いに、一切の根拠などなかった――けれども。