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【マスクド彼女・序】
第3章 一日目【彼女との戒律(ルール)】

「ルールは理解いたしました。それでは――」


 唯はそう言って、自分の手札をじっと見つめた。そして思慮すること数秒、彼女は自らの意志を決したようだ。


「私は、山札から引くことにしようと思います。引くカードは、山の中の何処から選んでもいいのですか?」


「ああ、構わないよ。但しその都度一回、相手のシャッフルを挟むことにしようか」


「了解です。では、シャッフルを」


 そう促された正直は、山札のカードを再度切り混ぜる。それから唯の取り易いように、カードの山を横長にざっと広げ――言う。


「どうぞ……」


「では……」


 唯はそっと差し出した右手の指先で、一枚のカードを自分の手元に引き寄せてゆく。


「……」


 その様子を静かに見守っている正直。

 このターンで唯が勝利する為には、【A】~【3】の数字を出さなければならない。【5】~【K】に比べれば、その可能性は三分の一程度だ。

 その低い確率に勝負を委ねる唯の心理を察すれば、おそらく三枚の手札の中に【A】~【3】がないから――と、正直はそのように考えている。それが正しい予想ならば、以降のターンでも有用な情報として生かすことができよう。


 そんなことを踏まえながら。

 唯がゆっくりとした手つきで裏返す、そのカードの数字に注目した。



 【♢7】



 よし、勝ち!



 正直の最初のターンを終え――


 正直 1win (残り手札2)

 唯  0win (残り手札3)


 ――と、なった。

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