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【マスクド彼女・序】
第3章 一日目【彼女との戒律(ルール)】

 そうして表に返したカードに、二人の視線が注がれた。



 【♡Q】



 やった……!


 それを目にして、思わずほくそ笑んだのは正直の方である。結果的に『HIGH』の条件を、見事に満たしていた。


 その経過を静かに見つめて、唯は言う。


「運がよかったですね」


 それは皮肉からの言葉ではなく、気持ちに余裕を宿している証拠か。マスクの口元には、まだ薄らと笑みを浮かべたままだった。


 しかし正直とて、「運がよかった」ことは認めつつも、そこに引け目を感じたりはしていない。


「運も実力の内――だろ?」


 所詮これは、単純なトランプ遊び。運であれ何であれ、勝ってしまえばいい――と。

 再びこの勝負をリードし、正直はその様に開き直ってみせたのだ。



 正直 2win (残り手札0)

 唯  1win (残り手札1)

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