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【マスクド彼女・序】
第3章 一日目【彼女との戒律(ルール)】
ジョーカー――或いは、ババ。
そう呼称されるそのカードは、幾分古臭いマッドピエロといったイメージの絵柄にてその存在を飾られていた。
「えっ……と?」
自らが引き当てたソレを目の当たりにし、正直は言葉を詰まらせている。
彼自身が即興で考案したこのゲームは、各々のカードが有する数字を用いてルールが成り立っていた。数字化されないこのカードは、その中での役割を与えられてはいない。
しかし、唯は高らかに言うのである。
「私の勝ちです」
それは、勝利宣言であった。
「はぁ……なんで?」
当然とばかりに、意義を唱えた正直。
それに際し、唯は自らが根拠としたであろう言葉を綴る――のだが。
「アダムとイブは、サタンの誘惑により罪を犯し――そして、エデンを追われます」
「アダム……って?」
正直は何を言い出すのかと、その顔をしかめるばかりだ。
アダムとイブ――そう聞いて思い浮かぶのは、禁断の果実(リンゴ)くらいのもの。
そう言えば、唯は二人の居るこの部屋を『エデン』と呼んでいるが……?