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【マスクド彼女・序】
第3章 一日目【彼女との戒律(ルール)】
「……」
正直は思わず拳を握ると、俯き黙っていた。最早その結果を、受け入れるしかないことを思い知らせされ観念していたのだ。
唯はその姿を見下ろすように、スッと席を立ち上がる。そして二人を隔てるテーブルを回り込むと、正直の傍らまでその歩を進めた。
「では――どうか」
「――!」
すぐ近くに唯の声を聞き、正直はビクッと肩を揺らす。そっと仰ぎ見た唯は、直立したままじっと其処に佇んでいた。
それは次の正直からの行為を、待ち詫びているかの如く……。
「……」
重い身体を動かし、正直も席を立った。
何をするのか――唯に何を望まれているのかは、既に十分に承知してはいた。だがそれでも、いざアクションを起こそうとすれば、気が咎めてしまうのも無理もないことだった。
ホントに……するの、か?
対峙し向かい合う、二人。顎の下の辺りのマスクの顔が、やや上方へとの俄かに角度を変えてゆく――。