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【マスクド彼女・序】
第1章 プロローグ
「……」
期せずしてパチクリと瞬きをする青年は、自身を取り成す環境に畏怖を覚えた。
そして多くの疑問を胸に、改めてマスクの女と視線を向ける。
その身体は思いの外、小柄であり華奢だった。身に纏った真っ黒なワンピースが、喪服のを彷彿とさせていることもあり。
幾分の猫背で俯き加減の立ち姿は、哀しみに苛まれた少女のようにも感じた。思いの外――としたのは、その全体のイメージとあまりに大きなギャップを有する故。
最早、言うまでもなく――それは彼女が着用する、奇怪なマスクだった。
「君は……何者、なんだ?」
唖然としながら、幾つもの疑問の中より、青年はそれを訊ねる。
「何者にも、非ず――です」
彼女は静かにそう答え、そしてこう言葉を続けた。
「ともかく――」
「――?」
「此れより、二週間の間。此処は、私と貴方の――――エデンの園」