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【マスクド彼女・序】
第4章 二日目・三日目【微弱な引力の作用】
 しかし、それも当然。


「まだ――俺が受けるべき罰を、決めていない」


 ベールに覆われた唯の顔を『見る』ことのみに思考を削がれ、すっかり失念していた。ゲームとは公平なもの、それが前提なれば。

 赤が多かった場合――すなわち自身が負けた場合のケースを、正直は先に知っておく必要を感じていた。


 だが――


「それは、双方――同様にて」


「えっ――だって――?」


 自分には、改めて『見せる』べき顔など、ない――。


 まだ、そんな疑問に苛まれ――頭を整理しきれずにいた――その最中。



「では――――勝負!」



 その声と共に。


 盤上に向け、スイングされゆく唯の右手――



「――!?」



 それに釣られるようにして――正直も、また慌て――手にした駒を振り出してしまうのだった。
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