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【マスクド彼女・序】
第4章 二日目・三日目【微弱な引力の作用】
それを完了するのに、左程の間を要する筈もなく。
粛々と結果を自らの手で検め、唯は淡々と無感情にそれを告げている。
「黒の駒が五つ、赤の駒が三つ。よって――」
それを聞き自らもその数を確認していた正直の胸には、やや色めき立つものが去来していた。
「この勝負――正直さんの勝ちとなりました」
そう告げる様子は、拍子抜けするくらいにあっさりとして。
唯は、正直の勝利――すなわち、自身の敗北を認めている。
「えっ……だけど……?」
その姿に、却って。余計に正直の方が、勝負結果に至るまでに生じている疑問点を気にかけた。
だが――
「神判は、その様に決しました。それでは早速、その罰を受け。正直さんに、お見せしようと存じます」
唯はそう言って、席から立ち上がっているのである。