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【マスクド彼女・序】
第4章 二日目・三日目【微弱な引力の作用】
「……」
「……」
色濃い造花に囲まれし、エデンの――その中央にあって。
自然と立ち尽くし対峙した二人の間に、異様な緊張感が伝わっている。
否――緊張を顕わにしているのは、それを『見よう』とする正直だけなのかもしれない。
ゲームの神判により、罰を受け『見せる』側の唯からは、些かの気の揺らぎも感じられなかった。
いや……それも、違う?
その最中で何かを感じ入ると、正直はふと自問している。
彼女が内なる感情を見せないのは、その表情をマスクが覆っていたから……。
それ故に、彼女は常に謎めく。
しかし、そのマスクも――ついに、取り剥がされようとしていた。
唯の自らの、その手によって……。
「では……とくと、その目に」
唯はまた、そっと口元を綻ばせて――。
その隠さざる本当の笑顔は、如何なるものなのか……。
わけもわからずに、否応なく何かは高まりゆくと――
ごくっ……。
正直は耐え切れず、そう喉を鳴らした。