この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
【マスクド彼女・序】
第4章 二日目・三日目【微弱な引力の作用】
「……!」
凝視する正直の、その前で――。
彼女の下した命令に伴い、ゆっくりと動き出した両手。
まるで宙を泳ぐようにして、静かに持ち上げられた両手は、確実に頭部を覆うマスクへと向かっていた。
正直の脳裏に幻覚を与えんばかりに、その所作は何処までも怪しく思える。
だが、その直後――
「えっ……!?」
予想だにしない行為に、正直は驚くと――そう声を漏らした。
シュル――。
音を立て、彼女が床に落としたものは――
制服の胸元の――三角スカーフ。
そうして――
「な、なにを……?」
思わず差し挟んだ正直の疑問に、彼女はそれを止めることもなく。
制服の上も――その下、スカートすら。
ぱさっ……。
俄かな衣擦れの音を、立てながら――
唯は自らの身体より、それらを脱ぎ去ってしまった。