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【マスクド彼女・序】
第4章 二日目・三日目【微弱な引力の作用】

「あ、え……なんで……?」



 正直は、戸惑った。それは、至極真っ当な反応であるように思う。


 今、その眼前には――下着姿の唯が佇んでいた。


 細く華奢なその身体の肌は白く眩しく、それを覆っているのは最早上下のシンプルな白い下着のみ。


 と、表せば彼女に限って、それはやはり正しくはないのだ。


 正直が暗に取り外されることを期待した、漆黒のマスクは未だあるがままに唯の表情を硬く包み隠している。


 そして――唯はその凶行を、更に続けようとしていた。


 その両手が背中に回るのを目撃し、正直はようやく唯が『見せよう』とするものに気づき――声を荒げた。



「ま、待ってくれ!」



「何故?」



「俺はなにもっ、そんなことを――望んでいるわけじゃない――からっ!」



 正直は異様に詰まる言葉を、感情の高ぶりで無理やりと喉より吐き出す。


 それに対する、唯は――


「随分と酷いことを――言われるのですね」


 とても寂しげに、その言葉を響かせていた。
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