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【マスクド彼女・序】
第4章 二日目・三日目【微弱な引力の作用】
どうやら、唯が『見せ』ようとしているものは、自らの裸身であるようだった。
そう言えば、彼女は素顔を見せるなどとは、一言も言っておらず。その点については、勝手にそう思い込んだ正直の早合点ではある。
しかし、唯は確かに「要求に則したもの」とも言っていたのだ。その言質があるからこそ、正直は先の言葉を投げかけている。
そして、唯は「望まない」とそう言われたことが、甚く癇に障ったようだった。時折そうであったように、彼女のマスクの変化のない表情がピリリとした空気を生み出して止まない。
敢えて言うのなら、唯の怒りのオーラが圧倒的なまでに正直を、圧迫しているのだった。その勢いのままに、唯はツンと刺々しい口調を正直へと向けた。
「一つ、確認をさせてください。ゲームの結果、敗北した私は罰を受けなければなりません。それは先に申し上げた通り、正直さんに『見せる』ことで完了いたします。ですが、貴方はそれを邪魔しようとしています。何故ですか? その理由を、お答えいただきます」