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【マスクド彼女・序】
第4章 二日目・三日目【微弱な引力の作用】
なんだ……コレ?
思わず正直は、喉を鳴らした。
今、彼が注視するのは、テレビ画面である。否、それは現在放送されているプログラムを一切映さないものだから、単にモニター画面とするべきか。
ともかく、それが映し出す映像は、正直の只ならぬ部分を刺激するものとなった。デッキに予め入っていた、DⅤDを再生して流れ始めている――それだ。
『ハッ、ハッ、ハッ――』
スピーカより聴こえている、その息遣いは――『男の方』のもの。
褐色に日焼けした逞しい背中が、その息を吐き出す度に揺れた。押し寄せる波の如く激しく律動する男の後ろ姿――その裸が、画面の大部分を占める。
それに、対し――
『あ…………ん…………やっ……』
細く途切れ途切れに、辛うじて耳に届くのが――『女の方』の声。
大きな男の背中の陰になりながらも、時折チラつく白い素肌。がっしりとした男の筋骨とは対照的に、それは余りにも華奢だと思えた。男の下で押し潰されそうにに迫られては、苦しそうな声を漏らしている。
「……」
正直が呆然と観賞する件の映像は、紛れもなくベッドの上で性行為に勤しむ男女の――それであった。