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【マスクド彼女・序】
第4章 二日目・三日目【微弱な引力の作用】
その映像は、断続的に幾つかのアングルを繋げ、広いベッドで交わる男女の姿を映し出しでいる。その編集の仕方が、明らかに妙だ。アダルトビデオのように、性的刺激を余すところなく見せようとする目的は、寧ろ希薄であるように感じる。
だから、正直はじきに気づくこととなっていた。この映像には、交わる二人の表情――殊に女の顔の、その一切を映してはいない。それが、初めに感じた違和感。
その時に、正直の中に生じた想いは、やはりそこに至る。
まさか……これ、は……?
男の分厚い筋骨に責められているが故に、尚更。その女の身体のか細さは、壊れてしまいそうな程に脆弱に思えた。そして、それはイメージとして何かを訴え、正直の脳裏にその疑念を生みだしていた。
「……」
それでも、否、それだから――?
正直が覚えた興奮は、微妙にその形状を変えても収まる気配はない。
小振りな胸の、その乳首が――彼女が漏らす切なそうな声に反するように、ピンと上を向いているのが妙に物悲しくとも。
胸の鼓動がバクバクと音を慣らせば、全身に血流を行き渡らせることを止めようとしない。疑念に苛まれつつも正直は、その興奮を更に高めてしまうのだった。
だが――
「――!?」
突如、襲っていた悪寒のような感覚。それが冷や水の如く、正直の興奮の熱を急激に奪ってゆく――。