この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
【マスクド彼女・序】
第4章 二日目・三日目【微弱な引力の作用】
※ ※
「……」
暗い――まだ見知らぬ、部屋。
モニター画面の青白いくすんだ光が、ぼうっと浮かび上がらせているような――奇怪なマスク。
唯は呆然としたまま、そのモニターに映る――正直を見た。近くに寄りすぎるから、妙に輪郭が膨らんで見える。その顔は不思議そうに、こちらをじっと窺っているかのようだ……。
やがて、正直の姿が画面より消えた。チェストから着替えを手に取っていたから、シャワーでも浴びに行ったのだと思った。
「ふ……」
唯は、ごく細やかなため息を漏らす。別に何かにがっかりしたのとも、ほっとしたのとも違う。単にひと段落を表すような、そんなため息である。
そして、そんな時だった。
「――!」
珍しく自らの携帯電話が奏で始めたその音を――唯は、耳に止める。