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【マスクド彼女・序】
第5章 四日目・五日目【表側の景色と裏側の闇】
「合コン……?」
孝次郎は口にするのも不快とばかりに、その顔を歪めた。
その兄を、微笑で見やり――
「学生らしくと、おしゃるのなら――それも一興かと存じますが?」
静音は皮肉交じりに言う。
「よくも、その様に俗な……まあ、それで、お前が楽しめたというのなら、別に構わんが?」
「まさか……でしょう?」
「そうだろうな……。差し詰め、男女が自らを用いての品評会。初めから志の低さが露呈しているだけに、好ましい相手など見つけようもあるまい。特に我々のような育ちの者にとってはな……」
孝次郎は、そう言いながら大きなため息を吐いた。
「それでも――」
「ん?」
「いいえ……」
静音は、些末だと思い、言葉を慎む。が、瞬間――あるセリフが、頭を過っていたのは確かなこと。