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【マスクド彼女・序】
第5章 四日目・五日目【表側の景色と裏側の闇】
それでもほんの少しだけ、二人の間では意味深な会話が交わされていた。
「正直さん――」
「え、はい――なにか?」
「正直さんは、私のこと……」
「キミのこと……を?」
「いえ……」
唯は躊躇って口を噤み、そして改めて――。
「私は正直さんには、内なる欲望にも正直であって欲しい――そう、思います」
「え……それは、どういう意味?」
そう問い返すと、唯は焦れたように言った。
「別に……意味なんて、ありませんから」
「はあ……?」
その唐突さに唖然するばかりであった正直にはこの日、それ以降は唯と真面に口を利く場面すら訪れてはいない。