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【マスクド彼女・序】
第5章 四日目・五日目【表側の景色と裏側の闇】
「うーん……なんなんだ、一体……」
丸めた毛布を抱き枕のように抱えて、正直はゴロリと寝返りをうった。その拍子で期せずして股の間に程度な刺激を受け、毛布の弾力の中でムクムクとした兆しを覚えている。
「ああ、くっそ……」
顔を自然と紅潮され、如何ともし難い様子で身悶えした。
結果的に禁欲生活に突入していたのが試験中からであることを鑑みれば、既にもう十日以上にはなろうか。中学の時に自慰行為を覚えて以降だと、最長かもしれなかった。
若い男子の身体は別に必要とせずとも、その生産活動を止めようとはしない。正直が至って平均的な精力の持ち主であるとしても、そろそろ放出せねば寝ている間に寝巻のズボンを汚しかねなかった。
しかし――
「……」
正直はゆっくりと首を回し、そっと背後を窺う。黒猫の絵とその壁を暫くの間見つめてから、顔を元の方向に戻した。
このロックドルームは、正直が個室として使用するプライベートな空間。だが、妙に落ち着かない。時折何者かの視線を感じる様な気していた。
否――もし仮に覗かれているとしたなら、その視線の主は当然――。
「まさか……そんなこと」
正直は囁き、首を横に。
火照った身体を誤魔化すように、頭から毛布を被っていた。