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【マスクド彼女・序】
第2章 前日【楽園からの誘い】
「嫌だね」
即答する、三嶋。
「え、なんで?」
「大体、何で今月に限って金欠なんだよ。試験中だったんだから、遊び呆けていたわけでもないんだろ」
「いや、それがさ。どうしても、欲しいスニーカーがあって。限定モデルの」
「ああ、前に話してたやつだろ。買ったのか?」
「うん……」
「だとしても、靴一足で金欠って?」
その疑問に、正直はバツが悪そうに目を伏せつつ答えた。
「つい靴に合わせたくて、服も上下それぞれ数点ほど購入いたしまして……」
「同情の余地ゼロだな……」
「そう言わずに、頼むよ。二万でいいんだ」
必死に縋ろうとする、正直に――
「じゃあ、こうしねえか」
三嶋は意地悪く笑うと、正直に肩をポンと手を置く。