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【マスクド彼女・序】
第2章 前日【楽園からの誘い】
高校時代はその奥手な性格もあり、女の子とは全く縁がなかった。
しかし、そんな正直でも東京の大学生となり、三嶋のような男と行動を共にして数年。当然ながら、その辺りの事情も大きく変化している。
幾分チャラい印象のサークルに身を置けば、自然と女の子との交流も増え接することにも慣れていった。そして、この日のように合コンの話とあれば即座に食いつき、酒の席で初見の女性たちとも親交を深めたりもしてきている。
そんな爛れたキャンパスライフの中で、何人の女の子とは実際に付き合ったり。すなわち高校時代の素朴な印象は、現在の正直にあっては一欠とて残されていない。
少なくとも、傍から見たのなら、そうなのだろう――が。
「なんで、断るんだよ?」
「いや、ちょっと……」
煮え切らない正直を、妙に感じる三嶋は――
「金がねえって言うから、俺は――ン!」
そう言いかけながら、正直の視線の先にいる人物に気がつく。