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【マスクド彼女・序】
第2章 前日【楽園からの誘い】
「ふぅん、そっか。そういうこと」
三嶋は何かを悟ったように、そう呟いた。
「な、何がだよ?」
それを受けやや嫌な予感がして、正直が訝しげにそう訊ねた時だった。
「新垣さーん!」
悪い予感は、どうやら的中。三嶋は突如として、その名を叫んだのである。
そして――
「バ、バカ! お前――」
あたふたと取り乱す、正直に――
「じゃあな。金の方は自分自身で、何とかするんだな」
そう言うや否や、三嶋はパチッとウインクをすると、その場から素早く立ち去って行った。
「くそっ、あの野郎……」
正直は睨むようにして、その背を見送っている。
すると――
「真矢先輩。今、私のこと――呼びましたか?」
正直の傍らに近づき、そう訊ねるショートカットの可愛らしい女の子。
彼女の名は、新垣璃子(あらがき りこ)。正直が所属するゼミの後輩であった。