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【マスクド彼女・序】
第1章 プロローグ
主人公であるその青年は、大学生。名前や人となりについては、また順を追って語ることになろう。が、この場は当面、幕を開けることを優先する。
ともかく青年は今、とても気後れしていた。
と、言うのも――。
「な、何なんだよ……このマンション?」
思わず発せずにはいられなかった独り言にも、その感情は表れている。
青年が訪れていた場所は、都心の一等地に建つタワーマンション。彼はそのエントランスを通されると、エレベーターにて幾つもの階層を駆け昇っていた。
そうして辿り着いた、重々しいドアの前。普通の大学生である青年にしてみたのなら、生涯縁のないと思われた、それは紛れもない超高級マンション。
部屋に足を踏み入れるまでもなく、その佇まいに於いて。それは青年を圧倒するに、既に十分過ぎるのであった。