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【マスクド彼女・序】
第1章 プロローグ
どうする? と、自問し青年は、暫し其処で立ち尽くしていた。
すると――
『何時まで、そうしてる気ですか? 鍵なら、開かれていますよ』
それは、ドアの脇のインターホンより。どうやら若い女の声だ。
それは携帯での通話時に感じていたのと同様。機械を介したその声は、心なしかとても無機質な響きであるように聴こえた。
ともかく、そう言われてしまった以上、もう立ち止まっている訳にもいくまい。青年とて、目的があって此処を訪れているのだから。
「では、入りますけど……」
まるで言い訳するそう口にして、青年はドアノブを掴みそれを徐に傾げる。
――ガチャン。
ドアは重厚な音を鳴らし、だが至極滑らかに開かれていった――。