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【マスクド彼女・序】
第2章 前日【楽園からの誘い】
正直には、これまでに付き合った彼女が二人いた。高校時代の友人と話す時などは、さぞ多くの女と遊んだようなことを言ったりするが、それは詰まらぬ見栄であり実際は二人だけだった。
それももちろん、別々の時期であって。一人は三年前、そしてもう一人はほんの数か月前に既に別れていた。どちらの彼女の場合も、付き合っていた期間は半年に満たない。そんな意味ではこの男に、派手な交際遍歴というべきものは別段皆無なのである。
その彼女らと知り合った切っ掛けは、やはり何れの場合も合コンの類だった。そこから、ラインやメールでのやり取りを重ねた後に、何となく付き合うに至ったのだ。
それが、悪いと言う訳ではなかろう。同じように知り合って、上手くやっているカップルなんて幾らでもいる。
それでも、その二つの男女交際を経た後。正直の胸に、何処か満たされない想いが去来しても確かだった。