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【マスクド彼女・序】
第2章 前日【楽園からの誘い】
新垣璃子と気軽に話すようになったのは、つい最近のことだった。
ゼミのレポートに苦戦している彼女の姿を見かけ、正直が声をかけたのの切っ掛け。内容がたまたま得意分野だったこともあり助言すると、彼女は恐縮するくらい感謝していた。
それ以来、どうやら正直を慕っているようでもあるが……。
当然、正直とて悪い気がする訳もなく。それどころか、本当は彼女のような子こそ自分のタイプなのだと、そう思うに至り始め。
そんなことだから――
「先輩――ボーっとして、どうしたんですか?」
「べ、別に……何も」
不意に近づいたその瞳に、正直はドギマギとしている。
まるでその様子は、まだ純朴だった少年時代のように――。