この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
【マスクド彼女・序】
第2章 前日【楽園からの誘い】
「新垣さんの方は、どうなの? 夏の予定――」
就活については、三嶋の時みたいにアレコレ聞かれても答えに窮するだけ。自然とそれを恐れた正直は、璃子の方へと話を振るが。
「私は休みを利用して、家庭教師のバイトを増やすつもりでいます」
「へえ、そうなんだ。何か買いたい物でもあるの?」
「いえ、特にそういうわけでもありません。単に生活費の足しにと、そんな感じなんです。両親も大変ですし、休みの間くらいは仕送りに頼らないようにしようかと」
「な、なるほど……ね」
「あ、でも。時間のある日は極力、大学に来るつもりなんです」
「え、どうして?」
「お願いして特別に、教授の論文のお手伝いをさせていただくことにしました。手伝いとは言っても、資料を纏めたりとか雑用程度しかできませんけど、それでも今の私にとっては有意義なことかと考えまして――」
「あ……そう」
話を聞く程に、正直は己の身が恥ずかしくなる一方となった。