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【マスクド彼女・序】
第2章 前日【楽園からの誘い】

「新垣さんの方は、どうなの? 夏の予定――」


 就活については、三嶋の時みたいにアレコレ聞かれても答えに窮するだけ。自然とそれを恐れた正直は、璃子の方へと話を振るが。


「私は休みを利用して、家庭教師のバイトを増やすつもりでいます」

「へえ、そうなんだ。何か買いたい物でもあるの?」


「いえ、特にそういうわけでもありません。単に生活費の足しにと、そんな感じなんです。両親も大変ですし、休みの間くらいは仕送りに頼らないようにしようかと」


「な、なるほど……ね」

「あ、でも。時間のある日は極力、大学に来るつもりなんです」

「え、どうして?」

「お願いして特別に、教授の論文のお手伝いをさせていただくことにしました。手伝いとは言っても、資料を纏めたりとか雑用程度しかできませんけど、それでも今の私にとっては有意義なことかと考えまして――」

「あ……そう」


 話を聞く程に、正直は己の身が恥ずかしくなる一方となった。

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