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【マスクド彼女・序】
第2章 前日【楽園からの誘い】
 そんな時、不意に――。


「そっかぁ……真矢先輩も来年は、卒業してしまうのですね」


 璃子は突如として、しみじみと言う。


「まあ、そう……だけど?」


 それは、心なしだろうか。璃子の横顔が感傷的だったように思え、正直はそれを不思議だと感じた。

 そして、璃子は明らかに緊張を顕わにして、正直の顔を見据えている。


「あ、あの……先輩」


「どうか……したの?」


「いえ……突然なので、失礼かとは存じますが」


 珍しく口ごもるその態度を何事かと感じ、正直も思わず背筋を正した。


「いいけど……もしかして、俺に用?」


 コクリと頷き――


「もし、宜しければ。今夜、お時間――ありませんか?」


 少し紅い頬のまま、璃子はそう訪ねていた。

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