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【マスクド彼女・序】
第2章 前日【楽園からの誘い】
マンショ名と所在地と部屋番号。正直は相手の言うままに、それをメモした。
すると――
『書きましたか?』
「あ、はい」
『では――お待ちしております』
相手の女は、通話を終わらせようとしている。
それに対し「はい。了解いたしました」とも、なるまい。正直は慌てて、話を続けた。
「俺、まだやると決めた訳じゃなくて――」
『――でも、お金が必要なのでは?』
「それは、まあ……そう、ですが」
『ちなみに、どれくらいの金額をお望みでしょう?』
突如として持ち掛けられた、金銭面の話題。その前に質すべき事は多々あったが、今の正直をして一番の関心事であることもまた事実である。
不躾なのは百も承知ながら、正直は咄嗟に自分の欲した金額を口にしていた。
「十万……くらい?」
チラシには『二週間』との記述。その期間の拘束を受けることを前提に、正直はとりあえずそう告げた。
そうした、後。
『では、その十倍――百万円を、お支払したいと思います』
「――!?」
電話の向こうで告げられた金額に、正直は言葉を失っている。
すると――
『書きましたか?』
「あ、はい」
『では――お待ちしております』
相手の女は、通話を終わらせようとしている。
それに対し「はい。了解いたしました」とも、なるまい。正直は慌てて、話を続けた。
「俺、まだやると決めた訳じゃなくて――」
『――でも、お金が必要なのでは?』
「それは、まあ……そう、ですが」
『ちなみに、どれくらいの金額をお望みでしょう?』
突如として持ち掛けられた、金銭面の話題。その前に質すべき事は多々あったが、今の正直をして一番の関心事であることもまた事実である。
不躾なのは百も承知ながら、正直は咄嗟に自分の欲した金額を口にしていた。
「十万……くらい?」
チラシには『二週間』との記述。その期間の拘束を受けることを前提に、正直はとりあえずそう告げた。
そうした、後。
『では、その十倍――百万円を、お支払したいと思います』
「――!?」
電話の向こうで告げられた金額に、正直は言葉を失っている。