この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
【マスクド彼女・序】
第2章 前日【楽園からの誘い】
「違うって。俺はこれから約束が――」
「約束? もしかして、新垣璃子か?」
「えっ――ど、どうして?」
突如、図星を突かれ取り乱す正直。
その顔を見ると、三嶋は「ほほぉ」っと冷かすような表情を作る。
友人ではあっても、正直にしてみれば三嶋という男のそんな部分は少し苦手だ。妙に鼻が利く。殊に男女間の事象については、鋭く目ざとかった。
最も適当にあしらえない正直の方にも、問題はあるようだが……。
「デートなのか」
「なに、決めつけてんだよ。大体、新垣璃子とは一言も――」
「じゃあ、約束って――誰とだよ?」
「それは……」
それ以上のツッコまれることを恐れ、正直は早々に話を切り上げようとする。
「と、とにかく急いでるし。俺、もう行くから――」