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【マスクド彼女・序】
第2章 前日【楽園からの誘い】
取り囲む造花の散らかった色が、落ち着くことを許そうとしない。
そんな広い室内で――二人。
「……」
「……」
その中にあって確認する限り唯一の家具であるテーブルで、正直は彼女と向き合って座る。二人を隔てていたレースの幕も、既に取り払われていた。
無言の気まずさから、出されたお茶を一口。それを飲み下した途端にふと顔を歪めたのは、毒でも盛られてはないかとの懐疑から。
しかし――
「――!」
どうやら、味は通常。それを感じて、ふっとため息が漏れた。
思いの外、時間が経過した感覚はある。だが、それがどれくらいか見当はつかない。部屋の壁には時計というものが無かった。否、そもそも何も無いに等しいのだ。
此処は生活の匂いを――一切、感じさせていない。
そんな広い室内で――二人。
「……」
「……」
その中にあって確認する限り唯一の家具であるテーブルで、正直は彼女と向き合って座る。二人を隔てていたレースの幕も、既に取り払われていた。
無言の気まずさから、出されたお茶を一口。それを飲み下した途端にふと顔を歪めたのは、毒でも盛られてはないかとの懐疑から。
しかし――
「――!」
どうやら、味は通常。それを感じて、ふっとため息が漏れた。
思いの外、時間が経過した感覚はある。だが、それがどれくらいか見当はつかない。部屋の壁には時計というものが無かった。否、そもそも何も無いに等しいのだ。
此処は生活の匂いを――一切、感じさせていない。