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【マスクド彼女・序】
第2章 前日【楽園からの誘い】
そう言えば、さっき――免許証を出す時に……?
テーブルに置いたスマホは、いつの間にか彼女に奪われていた――ということ。
しかし、この際。そんな事実確認をして、悠長に納得してる訳にもいかない。正直は現在の時刻を確認できずにいて。もしかしたら、既に約束の時間を過ぎているとしたなら……?
そうだと、したなら――
「ええ――そうですが。貴女は彼と――どの様な、ご関係なのです?」
電話をしてきている、その相手は――!
「――大変、申し訳ありません。彼には、これより二週間――私との契約を優先してもらうことになりますので――いえ、それは――詳しくは、申し上げられません」
正直の中に、一気に焦りが生じた。
「オイ! 勝手に――一体、何を話してるんだよ!」
席を立った正直は、平然と通話を続けようとしている女に詰め寄ろうとした。
だが――
「それでは――ごきげんよう」
彼女はそう言うと、その通話を終わらせてしまっている。