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【マスクド彼女・序】
第3章 一日目【彼女との戒律(ルール)】

 昨夜の黒のワンピースなら、その限りではなかったが。セーラー服と華奢で小柄な身体は、何とするべきか――予想以上にマッチしてしまっていた。

 早くも唖然とする正直の反応を愉しむかのように、彼女は得意げに語る。


「衣服など、然したる意味はありません。こんな物に何かを誤魔化されていては、真実に辿り着くことなど、ありはしない――そうは、思いませんか?」


「べ、別に……」


 正直が口を尖らせたのは、からかわれたと感じたからに他ならない。そもそも彼女はマスクをしているのだ。それは、この朝も同じく一様に。

 それが既に、謎の象徴であるのだから。彼女の言うように、服装で何かを判別することは無意味だった。


「昨夜をカウントせずに、本日からが一日目。これより、貴方の此処での基本的な生活について、幾つかお話したいと存じます」


「――!」


 先に気にかかることは多々あれど、少なくとも彼女が初めて何かを説明しようとしている。

 それを察して正直も、俄かにその目の色を変えた。

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