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第3章 一日目【彼女との戒律（ルール）】

　唯が『エデン』と呼称するこの広間は、四方を造花で彩られた壁に囲まれており。その広さに関わらず、異様な閉塞感を禁じ得ない。

　しかし当然ながら、その全てが壁という訳ではなく。一面を覆うカーテンは、おそらく大きな窓枠があることを示し。他にも数か所で垂れ幕のような布地で覆われた部分は、キッチンや唯の居住区に通じているものと思われた。玄関や正直の個室（唯によれば『ロッキングルーム』）への通路も、現在は同様。

　カーテンにせよ垂れ幕にせよ、それらが壁の造花に類似した模様であるが故、パッと見では一様の壁に取り囲まれたような錯覚が生じさせていた。

　唯一、中央に置かれたテーブルの一角だけが、白い。テーブルも向かい合う二脚の椅子も、その下の床板さえも真っ白なのだ。それがまた、何とも不思議な雰囲気を演出している。


「朝食の時間です。どうぞ、此方へ」


　そう言った唯に誘われ、正直は一か所の垂れ幕の先へと進む。其処は、豪華なシステムキッチンだった。