この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
【マスクド彼女・序】
第3章 一日目【彼女との戒律(ルール)】
暫く待ち、今度は唯の方から口を開いた。
「私の話は、面白くありません――きっと。ですから、正直さんの話を、聞かせていただけたらと思いますが……?」
「まあ、いいけど……」
何をするとも定まらぬまま不安定な時を過ごすのは、やはり苦痛。正直は提案を承知して、唯からの幾つかの質問に答えることにした。
「大学は、楽しいですか?」
「それなり、かな」
「では、今――幸せ?」
「え、うーん……それは、別に。特別なことじゃあないけど、悩みとかもあるし」
「悩みとは、どんな?」
「例えば……将来のこと、とか」
「正直さんが思い描く――将来、とは?」
「仕事して、結婚して、家族を――って、俺の話の方が、よっぽどつまらないね」
「いいえ」
唯は首を振ったが、何より正直が自分で呆れている。そのくらい普通で稚拙なことしか、口にしてはいなかった。
それでも唯は気にした風もなく、また改めて何かを聞こうとする。
「今、結婚――と、言いましたが」
「うん。あ、もちろん、予定はないけどね」
「では、今――好きな女性は、いますか?」
「私の話は、面白くありません――きっと。ですから、正直さんの話を、聞かせていただけたらと思いますが……?」
「まあ、いいけど……」
何をするとも定まらぬまま不安定な時を過ごすのは、やはり苦痛。正直は提案を承知して、唯からの幾つかの質問に答えることにした。
「大学は、楽しいですか?」
「それなり、かな」
「では、今――幸せ?」
「え、うーん……それは、別に。特別なことじゃあないけど、悩みとかもあるし」
「悩みとは、どんな?」
「例えば……将来のこと、とか」
「正直さんが思い描く――将来、とは?」
「仕事して、結婚して、家族を――って、俺の話の方が、よっぽどつまらないね」
「いいえ」
唯は首を振ったが、何より正直が自分で呆れている。そのくらい普通で稚拙なことしか、口にしてはいなかった。
それでも唯は気にした風もなく、また改めて何かを聞こうとする。
「今、結婚――と、言いましたが」
「うん。あ、もちろん、予定はないけどね」
「では、今――好きな女性は、いますか?」