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【マスクド彼女・序】
第3章 一日目【彼女との戒律(ルール)】

 まるで、この世にたった一人、取り残されているかの如く。

 その言葉の何とも寂しげな響きが、正直を怯ませていた。


「いや……そうじゃなく。だけど……」


「ごめんなさい」


「え……?」


 そっと頭を下げる唯の姿を見て、正直はその真意を量りかねる。


「どうやら、やり方を間違えたようです。その点については、謝ります。私は長らく人と接した経験がないので、その辺りの加減がわからない――いいえ、何一つとして、わからないのです」


「何も……わからない?」


「はい。だから改めて、教えていただきたいのです」


「一体、何を……?」


「正直さんは、新垣璃子さんのことが――好きなのですか?」


「そ、それは……悪いけど、答えられない」


「承知しました。では、質問を変えます」


 そうして――正直に向けたマスクの顔が、それを訊ねた。


「好き――という感情の正体は――どのような、ものですか?」


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