この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
【マスクド彼女・序】
第3章 一日目【彼女との戒律(ルール)】
何かに耐え兼ねるようにして席を立った璃子は、図書館の入口、エントランスへと向かう。
壁際を背に立ち止まると、手にした自らのスマホを見つめ、やや迷った挙句に一本の電話をかけた。
その通話相手は――
「――あ、新垣です。突然、すみません」
『ああ、どうも。珍しいね。俺に電話してくるなんてさ』
落ち着き対応したその声は、ゼミの先輩の三嶋。正直の友人である。
『で、何か用?』
「特に用という程のものでは……ですが若干、気になることがありまして、ですね」
『うん……?』
「あのっ……真矢先輩のことなのですけど」
思い切って、その名を口にした時。
『へえ――なるほど、ね』
妙に納得したような三嶋の反応を、璃子は少し不思議に感じた。
「あの……?」
『あ、別に。コッチの話だから。それで――アイツが何か?』
改めてそう問われ、璃子は何と言うべきか慌てて考えを巡らせる。