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第13章 『心底』
「足は冷たいのに、燃える部分はあるなぁ。こないに濡らして、欲しがりはどっちや。」

目を逸らせば、全てを奪われてしまいそうで身体の力は抜かされたが魔王の瞳だけは見つめたままだった。

足の指がぐちゅりと音を立て、絢音の中心を貫く。

カチャリとフォークが音を立てた。羞恥に顔を歪める姿を愛しいと思った。

「手元が留守や、ゆっくり食べ。下の口はいつも欲しがりやなぁ。こないに涎を垂らして。ほんま、淫乱やわ。」

言葉に煽られ、身体が痺れる。言葉の絶対力の中で生きてきた絢音にとって、その煽りは服従を示せと脳に訴えかけられているようだった。

「やめ…て…なら…足の指を抜いて…」

「そんな可愛い顔を見逃す訳はないやん。いい顔で逝きや。自由になれ絢音。」

足の指がぐっと奥に入れられ身体を硬直させた。

声が漏れるのを堪える。羞恥の顔を見逃す訳はなかった。

身体は全ての調教を受け入れている。

その姿を愛しいと思った聖。見つめる聖を憎らしいと思った絢音。

身体だけが言葉の絶対力に服従を示していくようだった。

「可愛い声で鳴きや。俺だけしか聞かん。」
「そんなの…い…や」

「快楽に身体を明け渡し、気持ち良くなりぃ。素直なええ子になりたいんやろ。」

音が聞こえないかを気にする余裕もない。

奥底に魔王の言葉と指が入った。

「逝きや、絢音。俺の奴隷やろう。」

白い世界は来て、揺るやかな世界が身体を包み快楽は身を焦がした。

吐息と声は漏れ。足の指は抜かれ、さらりと隣に来た聖は肩を抱いた。

「ゆっくり、呼吸し。味わい、快楽を楽しみ。ほんまにええ子や。楽しませてくれる。」

唇には褒美が与えられた。揺るやかな時は流れた。


聖の絶対力の中に絢音は、服従を誓うしかなかった。
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