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第19章 『絶対』
「日本一、大きな湖。楽しみ。」

一枚ずつページをめくり今日、描いたところまで来た。

「これは綺麗な流線型やな。緑は好きな色。」

線と色だけで表現した一枚の絵には緑、薄い紫、ピンクが入っていた。

緑は今の季節と薄い紫は聖、ピンクは私。色で人をイメージした抽象を何枚か、聖に逢ってから描き始めた。

「聖は薄い紫が、花なら藤の花。はかなく、けれども木としては力強く根をはる。私はピンクな柄じゃないんだけど色合わせとして。」

「そうか?僕の前ではかなりピンクだよ、絢音は。」

するりと後ろから長い手がお腹回りに入り、背中を聖の胸に押し付けられた。

もう一方の手で顎を上げられ唇はまた、塞がれた。覆われる唇。お腹にあった片手はゆらりと、胸まで上がる。

背筋がぞわりとし、子宮が反応する。こんな身体の反応があるなんて本当に知らなかった。

聖を愛し求める気持ちが、今までの愛など及ばない程だからか?それ共、聖が女を分かっていて意のままに操るからか?
それはどちらもなのだろう。

キャミソールのワンピースはすぐに肩紐をするりと下ろされていて、あらわになった胸を後ろから揉みしだかれ唇の隙間からは吐息と声が漏れた。

淫らなその自分の声にすら、反応をしてしまう。聖は再び魔王の顔になり、冷淡な笑みが浮かんだ。

唇が少しだけ離され、目の端にテーブルが写る。

「聖…ご飯が途中よ…」

顔を戻され、囁きに身体中の神経が聖に向かう。

「僕が絢音に触れたら、それは快楽の始まり。ご主人様やろ、食事はまた後や。絢音を待てない。いい香りをさせて、僕を誘って。」

唇に落ちるキスが息を空気を奪う。 床に寝かされた後に、するするとワンピースは脱がされ一人だけ裸にされる恥ずかしさを味わった。

突然、タオルで目隠しをされた後にいきなり手を上げられ何かで縛り上げられた。その時、脳裏に朝見た鞄の記憶が蘇る。黒いパソコンケースの中にあった物達 …

「快楽をたっぷり堪能しぃ。沢山、鳴いて可愛い声で…」

何かの音が耳に入る。目を塞がれる不安感からか感覚が益々、鋭くなっていた。
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