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・辿りつく 先には・
第14章 『服従』
ホテルに帰り、シャワーを浴びた。疲れが溜まったからと、頭を洗って欲しいと言われ結局はまた強引に一緒に入るはめになった。

湯舟に浸かっても、背中を胸に寄り掛かり前は抑えていた。その間に、するりと腕は入る。

「お風呂では、何もしない約束よ。」

「約束は破られる為にもあるんや。こんなに近くにいて、何もしないなんて無理やろう。」

「それは聖の言い分でしょう…本当なら一緒にも入って無かったはずなのに。」

「もう、今日で最後の夜なのになんで離れなあかん?ずっと離さへん言うたわ。」

「それはそうだけど、もう触れられ過ぎて身体が敏感になってる。」

「敏感にしてるんやからいい反応、示し。一晩だけでええ身体も心も預けぇ。」

水音が揺るやかさを、誘う。身体がリラックスして肩から力が抜けた。

「唇だけを感じて。絢音。」

身体を向かい合せにされる、炎の激情は無かった。

優しい水のたおやかな力が、心を軽くする。

唇と唇の触れ合う、優しさが愛しい。ほんのり触れては離れる。

夢の中にいるような気分が抜けない。

口付けは次第に強さを増し、水が跳ねる音は絢音の身体が反応していたからだった。

「聖…くる…しぃ」

抱えられ抱き上げられ濡れた身体のままベッドに連れられた。

水滴を全て吸い上げられるように舐め取られる。足の指先から、太股、お腹、胸、首筋。

まるで、獣に食べられる前に吟味されているかのように…

滑らかな肌は、唇に吸い付き気持ちがいい。

「沢山、鳴き。気持ちいい分 楽しみ。何もかも任せれば、何度でも逝かせたる。」

もう怯えは無かった。あるのは快楽だけだ。身体からは力が抜ける。

触れられる指先に、熱が篭る。熱い聖の情熱が魂に火を燈すように、愛と情熱が注がれる。

胸の先から、唇から。

「聖、聖…もっと、もっとキスをして。みんな焼き尽くして、悲しみを消す程に。」
「愛してる、絢音。何度でも、感じて。俺が生きてるのを知って…」

淡い光りの中に聖の双眼が煌めき、自分の姿がそこに写っていた。
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