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・辿りつく 先には・
第17章 『距離』
あと三日前にまた逢瀬がせまり、何かを期待しつつも、帰って来てから電話をする毎日だった。

旦那は毎日、遅く帰って来るので一緒に食事をしたことも平日は無かったし毎日寂しい食事をしていたなと思った。

毎日、一日中ほとんど一人。鬱から上がり漸く、何かをし始めたがそれまでの永遠の闇は辛く悲しみを産むには十分だったのだ。

だからと言って、聖を愛していいことの理由にはならなかったが偶然はなく必然として出会ってしまったのだから。

会話が自分の部屋に響く。声が上擦らないよう、気をつけていた。

「お帰りなさい。」

「ただいま。今日は何をしてた?」

「作業しつつ。荷物作り、ちょっとお土産を作ったの見ながら楽しんでたわ」

「お土産、楽しみだね。ありがとう。」

それに小さく笑う。
「まだ渡してないのに、お礼はその時に。」
「そうやね、待ち切れない?」

「楽しみは、今が一番なのかな思うわ。」

「それは分かる気持ちはするわ。楽しい日はあっという間に過ぎ行く。」

「そうそう、短歌をありがとう。凄くいいものばかり。」

「気に入れば、良かった。言葉、遊びは好きやから。」

「私も小説、書く時間が欲しいなぁ。今はてい一杯だから。」

「忙しそうやもんな。」

「忙しい内が花よ。ありがたいわ。」

「僕は仕事、行きたくないから。」

「鬱が酷い時は、無理しないで。」

「そやね、上司が理解あるからまだ助かってるわ。」

「良かった。それは重要。」

二人で話をしていると女性同士で話をしているように、長話になる。


女性的な要素を持った男性とは昔から、気が合った。

私に男性的な気の強い部分があったからだ。素直な女にはなれない。

話題を変えた聖の言葉を聞く。

「けど絢音はあの逝く時の声は可愛いわ。そそられる。」

「また急にそんな事、思い出さないで…恥ずかしいし、身体がおかしくなるから。」
「常におかしくしたいんやからいいんや。可愛い声を聞きたいし。」
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