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・辿りつく 先には・
第8章 『侵略』
お湯につかり、Showerを浴びたら幾分か復活したようだった。
暑いからと、脱衣所からバスタオルだけで出て来たのに焦って背中を向けた。

何となくしか分からなかったが、シャツと下着をベッドの枕元に置いておいた。
「ああ、おおきに。着替えありがとう。」

滴る水が、頬に落ち驚いて見上げた。顔が近い。瞳を閉じる。常に感謝はキスなのだと知る。首筋のあたりが、痺れている、気持ちがしてならない。

頭を撫でてから、着替えを取った。髪の毛が靡いて、聖に向かう気持ちがして頭を抑える。

心が流されて、行くのを抑えたくて深呼吸した。

バスタオルを取ったので再び、夜景を眺め背中姿が目の奥に残像としてあったのを頭から追いやった。

身体中が次第に、燃えてくるのを必死に抑えたがどうにもならなかった。下半身が熱い、焼けそうだった。

確かに色々、敏感だったがこんな事 一つで慌てる様な性格では無かったはずだ。
自分の全神経が、この魔王に向かっている気持ちがした。

細いしなやかな身体、体格がいい訳ではなかった。病気の為か食欲も、イマイチと話していたせいもありどちらかと言えば痩せている方だった。

どんな男性も、お尻だけは小さいのだなと思いはっとして首を振った。

「なんや、百面相なんかして。見てるだけで、表情がころころ変わっておもろいわ。」

顔を隠す。その手を捕まれた。ぐっと顎に手をかけられ、目をつぶったが唇は触れなかった。瞳を開けると、ニヤリと笑った顔があった。

「キスが欲しいんなら、して欲しい言うんや。これからは」

もうっと呟きが漏れる。ぷいと横を向いた。

「聖がキスばかり、して来るからでしょう。だからよ。してなんて、言・わ・な・い。」

ああ、そうとあっさり離れられると不安感が胸を埋める。


調教の始まりだった。

命令に従う事が、まずは第一歩だ。じっくりと楽しもう。そうNは思っていた。
ベッドに再び、俯せになったのを目にして、まずは腕からマッサージをした。
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