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第8章 『侵略』
男には決して負けたくなくて、何でも図書館で本を読みあさり知的度を上げ 極めるのが好きな性格が高じてか 料理もかなり腕を上げた。

プライドが高いと言われるが、そうでもなく懐けばその人には従順になれるのだったが。

認めた人間に対して、だけだった。

猫気質なとこが抜けないたちだった。

口紅を塗り直し、ワンピースも整えた。熱い下半身は少しは収まっていたが、触れられたら再発してしまいそうだと思っていた。

振り返り、整ったのを見せるとまた抱き寄せられた。

「僕を早く愛して、絢音から愛してると言わせたい。」

「中々、言わないわよ私。」

「すぐに言うようにしてやるさかい、大丈夫や。」

「何処から来る、自信なのかしら。あっ、駄目 今…」

ぐっと顎を持ち上げられ、唇を再び食べられる。魔王の唇に、赤い口紅が付く。
それはまるで今、人を喰らって来た様でざわりと心が騒いだ。恐怖と期待の入り乱れに心が、ついて行かない。

ちょっと呆れて、ティッシュを渡した。口端の笑みに腹も立った。

「今、塗り直したばかりなのに。」

「そやかて、唇がキスしてと言うから。」

「言ってませんっ。も~ホントに聖のキス魔。」

「キスは愛情の一番の証。照れてるとこも、可愛いやん。」

何を言っても、敵わないと思い手を引いて部屋を後にした。
部屋には混じり合う感情と、複雑な女心が置き去りに されているのだった。

夜が深まる、二人は時間が迫りタクシーを使いみなとみらいへと向かった。
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