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第9章 『調教』
みなとみらいについてランドマークの下で、降りると桜並木が二人を迎えた。

ちょっとけだるそうな聖の手を取り、桜の下で喜ぶ絢音。

「北国ではあんまり桜の、名所がないの。だから桜はやっぱり特別。」

「うちの方には有名な桜所はあるなぁ~ こっちで咲いてる言う事はあちらは散りかけかも。」

「滋賀は京の都に近いし、きっと素敵な所 沢山あるのでしょうね。」

「そやな、京まで行けばより取り見取りや。」

いいなぁと呟きながら、桜の下を二人で歩けた嬉しさを噛み締めていた。やはり口では色々と強気を言ってしまうが、女心はきっと言えないだけで人一倍あるのだろうと思った。

いつも自分から、告白をして相手を好きになり 愛し追いかけてきた恋しか知らなかった。

相手からの愛情の示され方にこんなに弱いのを知り、本当に戸惑っていた。

愛される安心を知れば、それがまた無くなった時の不安を思い愛する方を選んでいたからだった。

臆病でけれども、負けず嫌い。損な性格だったなと思う。だが他人は変えられなくても、自分はいくらでも変えられるのだ。

口をつぐみ、桜を目にしながら暫く二人は互いに思いを飛ばしていた。

花びらが落ち、二人の意識を戻す。

「お酒も好きだと話していたから、日本酒の美味しい店にしたんや。僕も日本酒はやっぱり、好きだなと思うて。和食やよ、良かった?」

それに嬉しそうに、微笑み上を見上げた。

「ありがとう、予約でお店に行く何て言う事もあんまりないから。楽しみだわ~」

「僕も久しぶり、あんまり飲み過ぎないようしないと。」

「お食事をして、色々 お話がメインだものね。」

「焼鳥もあるらしい、好きやったろう。」

「本当に色々、覚えてくれているのね~」

「僕はずっと、絢音が欲しくて 何一つ聞き逃さないようにって 思っていたから。」

段々とストレートな、物言いに慣れて来た。

「和食が好きなのは覚えてましたよ、私も。ワインも好きとか、イタリアンは明日ね。私が取っておいたから。」

「それは楽しみ、互いに気遣いが出来るのは居心地いいわぁ~」
それに、ニコニコと微笑んだ。
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