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第10章 『夜伽』

まるで互いの戦いの様な、その行為。

これが愛だと感じるには、時間がいる。
だがその時間を与えられる事は許されない。容赦ない唇の炎が全身を、燃やして行く。

丘の頂点を唇が微かに触れ、身体が粉々になるかと思い悶えるが下半身は聖の足の間で完全拘束されていた。

微かに触れられただけで、脳は光りを放ち身体はバラバラになりそうで もう今にも心と魂を手渡し離して欲しいと懇願しそうだった。

尖った胸先を、指で弾かれ悲鳴が口から漏れた。

｢止めて！聖、本当に恐いわ。｣

恐怖に胸を焦がしても、聖の顔には笑みが消えない。

こちらを見上げ、口から舌先が見える目を閉じると片手に力を入れられ瞳を開けさせられる。

｢絢音の魂を、吸い上げる。もう抵抗しても、無駄や。｣

丘の頂点にゆっくりと唇が触れ、全身の血がそこに集中するかのようだった。

ああと声が漏れて、舐め上げられたと同時に脳も下半身にも痺れが賭けぬけ、吸われたと同時に全てが奪われた。

魂が本当に見えるのではと、目を逸らす事が出来なかった。
薄明かりの中に、魔王の舌先と唾液が光りに艶めきなんと恐ろしいのだろうと思った。だが身体はその快楽に反応して、燃える下半身 が疼き下の口から流れる愛液をどうする事も出来なかった。

双丘を味わい尽くされ、身体が柔らかくなり力を込めていた手が次第に垂れる。
ゆっくりと丹念に味わい、一時を楽しんだ。全ての言葉と、身体で教え込む。それが調教だった。

自分自身からねだる様にさせる為には、今の最初が一番重要だったことを魔王は経験で知った。

愛しい絢音を味わい、何一つ漏らさず 全てを食べ 心と魂さえ操るのを楽しみたいと思った。

滑らかな肌を感じたくて片手で、最後のヴェールをはいだ。
そこには淡い黄色の光りの中に輝く、黄金を映した白い絹がたおやかに滑らかに指先に纏わり付いた。

流石の魔王もそれには吐息を漏らす。

｢絢音の肌は本当に気持ちがいい、まるで絹の生地の様に肌に纏わり付くよ。手の平が滑る…｣

手を丘から下の方へ一度キャミソールを下ろして、またゆっくりと指先で下から上に上がった。

背中が吊り上げられる気持ちがした。