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第11章 『告白』
ああだからこの人は、あんなにも孤独だったのだろうとそう思った。

「人を憎んで 憎んで 悲しみを増やし、そんなことをしていたら闇は隣り合わせの住人になっていた。母が置いて行ったからだとも、全ては憎しみに変わった。人など信じる価値なんて、ない。」

言葉の重みがまた、檻を作っていくようで深く息を吸った。
「女を抱いている間だけは、その悲しみが薄れる。だけれどそれだけや。本当の魂など、誰にも救えやしない。」

「今は?私を喰らい安心をしていないの?私は貴方の側にいるわ。貴方がこの腕の中に抱きしめてくれているなら、ゆっくり ゆっくり信じて。」

「絢音は色々、経験したのは聞いたからこの話しを分かる思うたからした。けど信じるなんて、無理や。人間はもう、誰も僕を救えへん。」

起き上がり、抱きしめた。涙を流さない聖の心が泣いていたから。心が痛い。

「泣かないで、私が 今だけは私がいるわ。」

ぐっと抱きしめられた。

「今しか、おらへん。ずっと俺の魂を温めてはくれへん。」

「聖は心で感じてくれるでしょう。」

「でも 夜は恐い。考えが降り注ぎ、だから女の肌の温もりが欲しいんや。絢音、絢音かてそっちの生活がある。今、一緒に来て言うても来れへんやろ。」

「でも、私を感じてくれるでしょう。」

「温もりが欲しいんや、いつも いつも不安を拭い去るのはそれだけやから。話しは終いや。」

ぐっと唇が首筋に押し当てられた。押し倒される。

断ち切られた、言葉の先に悲しみと憎しみが流れた。

聖を救いたかった。ただ、ただ純粋にこの悲しみと痛みを消し去りたかった。

それを出来るのはこの、肉体を与える事。絢音の中の構えが変わった。

「貴方が悲しみを一つ消せるなら、私を抱いて。聖を救いたい。」

「無理や、ただ減るだけで溢れて溢れて止まらへん。救うなんて、言うなや。出来へんことを。」

憎む様に唇を塞いだ。気持ちが溢れこむのを感じた。

複雑な感情の渦が二人を包み込むのだった。流れる指先からも唇からも、憎しみと愛が溢れた。

聖の浄化が始まる。自分の魂の浄化は女を食う事だ。だが次から次へと悲しみは溢れる、その為に次から次へと女を変えた。

魔王の悲しみは消えない…
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