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・辿りつく 先には・
第11章 『告白』
つらそうな顔を見て頬の手を、そっと包んだ。

「無理にじゃないの、だから話せたらでいいわ。」

「終わった事だけれどもなぁ。何処から話してええのか。」

背中に枕をあてて、 身を起こした。裸だったのには気付いていたがモーフに包まり肩に手をおかれ抱き寄せられていた。
「両親の話しからかなぁ、僕の母は僕が14の時に亡くなってな。兄はいたし父もいたけど、みんなほんとに悲しんでな、父は父でそのあと色々な事業をしていて。」
過去への扉が開かれ、聖の心の苦しみを知れば何かが分かるかもしれないと一つも聞き逃さない事にした。

「兄は兄で働けるようになれば、すぐにも家を出た。僕も同じようにしたかったけれど、父の事も気になっていたし。母がいない事は本当に淋しゅうてなぁー」

遠い目をしていた、だったらもっと女を大事にするようになるのではないかとも。母親の面影を、女性にあてているのなら。

「父はそのあと色々な事業に手出しをしていて、結果的に借金も残していて、母と同じく病気で亡くなった。その借金を到底、僕達が払える額ではなく父方の兄弟 僕にとっての伯父が何とかしようとしてくれた。」

「それなら、良かったのじゃない?」

ちらりと目線が降り注いだ。だが、その目は厳しかった。

「血の繋がりのある伯父を憎みたくはなかったが、その借金の返済の為に僕達に何も相談せず 住んでいた家を売り飛ばされ 思い出の写真 一枚すら僕には残らなかったよ。その頃、僕は大学に行っていて何も知らなかった。」

考えていたよりも、遥かに重く悲しみをこの人は抱えて来たのだろうと思った。
「伯父を憎んだよ、暫くの間は。人を信じられなくなる程に、血を分けていた身内にそんな酷い事をされ 母の写真もアルバムも 過去を全て捨て去れた。どんなに言い争いをしても、借金をした父が悪いの一点張りだった。」

「お兄さんはその時、何て…」

「海外にいて、仕事が忙しく そんなごたごたは捨て去れて良かったと一言を無下に言われた。誰も僕の悲しみを分かってはくれなかった。」
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